我々、現代人は食事の摂取と消費のバランスでいうと、かなりの人が摂取しすぎと言えるのかもしれません。「食事の摂取と消費のバランス」を是正し、適正な体重を保つということは健康な状態にするためのひとつの方法でもあります。その適正な体重に近づける手法のひとつが断食です。東洋医学的にいうと、瀉法ということになります。

我々の身体は我々が頭で考える以上によくできています。何らかの刺激に対してホメオスタシス(恒常性を保つ働き)により身体を一定の状態にしようとします。瀉法である断食をするというのは、食事療法よって適正な状態にするための代謝のきっかけというこになります。普段、体内に入ってくる食物が入ってこないという状態なので、必要なエネルギーとなるものを身体のどこかにが求めます。そこで、自らの体内の脂肪等をATPというエネルギーに変換することで、エネルギーを補てんします。その結果として脂肪等余分なものを輩出されることになります。このように断食は身体の代謝の機能の働きを促すことになるのです。 

断食と一言で言っても、ある人にとっては問題とならない断食でも、ある人にとっては身体の危機なこととなることがあります。当施設では過度な断食でなく、適度な断食(空腹感)が大切だと考えます。それはその人にあった断食量の把握です。鍼灸でも、重要視されることにドーゼ(刺激量)の把握があります。断食も同様にその人にあった断食量が重要です。それにより適度に身体の代謝の向上や、運動しやすい身体となります。そのために、断食中は、日々の経過を診ながら、臨機応変に対応いたします。無理な減量、ダイエットは適切なものでないということです。

断食は自律神経でいうと交感神経優位となります。症状では「頭痛、腰痛、肩こり、神経痛、吐き気、冷や汗」などが起こることがあります。繰り返しになりますが、これらの症状が過度なものでしたら、その症状緩和のために適度な処置をおこないます。

断食中の長湯は絶対にお控えください。入浴は思った以上に体力を消耗します。そのため断食による食事制限により、身体に力が入らず動けなくなる場合があります。また、お風呂から急に立ち上がったりすることで、めまいなどで倒れたりすることもあります。入浴の際の時間にはくれぐれもご注意ください。また、脳血管症状の予防のため、断食中での水分、塩分は適度におとりください。

また、断食中の交感神経優位の行き過ぎを、適度に抑えるのに瞑想は有効なものとなります。瞑想は断食と逆に副交感神経優位となります。瞑想によって思考を停止することで、今の体の状態の顕在化(体の声が聞こえてくる)されやすくなり、そのフィードバック機能がエネルギーの消費を抑える省エネモードとなるのです。それにより、ホメオシスタス(恒常性)により、過度の交感神経の働きを抑えます。

断食で代謝が働き、体重の減少(体内のデットクス)、内臓の休息(負担の軽減)によって、ホメオシスタス(恒常性)も働きやすくなり、自律神経の安定にもつながります。